US(米国)における医薬品の製造業・製造販売業に関するライセンス取得方法や要件

米国で医薬品を製造・販売するには、連邦レベル(FDA、DEA)と州レベルの両方でライセンス登録が必要です。これは、日本の薬機法に基づく「製造業許可」「製造販売業許可」とは制度設計が異なります。

日本では、「製造業」と「製造販売業」が明確に分離されており、製造販売業者が市販後の安全性や品質保証の責任を負います。一方、米国では、製造業者(委託先を含む)に対して施設登録とライセンス取得が求められ、販売業者と製造業者が一体であるケースも多く見られます。

また日本と同様に、米国でも施設登録やライセンス取得 ≠ 製品承認です。医薬品を市場に出すには、FDAによる製品ごとの承認(NDAやANDAなど)が別途必要です。つまり、ライセンスは「製造・流通の資格」であり、「販売してよい製品かどうか」はFDAの科学的審査によって決定されます。

なお米国では、日本の「卸売販売業」に相当する業態はWholesale Drug Distributor(WDD)と呼ばれ、製造業・製造販売業とは別の規制枠で管理されています。

FDA登録(Drug Establishment Registration)

  • 医薬品の製造、包装、再包装、表示変更などを行う施設は、FDAに登録する必要があります。
  • 登録は、操業開始から5日以内に電子的に提出。
  • 製造するすべての医薬品を**年2回(6月・12月)FDAにリスト提出。
  • 登録は毎年更新(更新期間:10月1日~12月31日)。

DEA登録(Controlled Substances Registration)

  • 規制対象となる麻薬・向精神薬などの製造・保管・流通を行う場合、DEAの登録が必要
  • 施設ごとに個別の登録が必要。
  • 登録は年次更新制

州ごとの製造業ライセンス

  • 各州で製造業ライセンスの取得が義務付けられており、要件は州ごとに異なる
  • 例:製造業ライセンス、卸売業ライセンス、薬局施設ライセンスなど。
  • 仮想製造業者(製造を外部委託する企業)も多くの州でライセンス対象。
  • 州によっては追加の営業許可や施設検査が必要。

WDD登録(Wholesale Drug Distributor)

  • WDDは、州ごとのライセンス取得が義務付けられており、さらにFDAへの年次報告も必要です。
  • FDAは2022年に「国家基準(National Standards)」を提案し、州ごとのばらつきを是正する動きも進めています。
  • WDDが**規制薬物(Controlled Substances)**を取り扱う場合は、DEA(麻薬取締局)への登録も別途必要です。