コンビネーション製品とは?日本・FDA・EUにおける定義や規制要件など違いについて

コンビネーション製品とは、医薬品・医療機器・再生医療等製品など、異なる種類の規制対象を組み合わせて1つの製品として製造販売するものです。以下に、日本・米国(FDA)・EUそれぞれの定義と特徴を項目別に詳しく解説します。

地域定義規制要件・審査の特徴代表的な製品名
日本医薬品、医療機器、再生医療等製品のうち、2種類以上を組み合わせて1製品として製造販売するもの主たる効能・効果に応じて審査部門が決定。承認申請時に「コンビネーション製品」と明記。ヒューマログ注ミックスペン、フルタイド100エアゾール、プレベナー13シリンジ、シロスタゾール溶出ステント等
US(FDA)Drug/Device、Biologic/Deviceなど、2つ以上の規制対象を物理的・化学的に組み合わせた製品「Primary Mode of Action(PMOA)」に基づき、FDA内の担当センター(CDER, CDRH, CBER)が審査。EpiPen、Humalog KwikPen、Advair Diskus、Taxus Express2
EU医療機器に医薬品成分を組み込んだ製品など。主たる作用に応じて医療機器規則(MDR)または医薬品規則が適用医療機器として扱う場合はCEマーキングが必要。医薬品成分が主要作用の場合はEMAが審査。Symbicort Turbuhaler、Insulin Lispro Sanofi 、SoloStar、Prevenar 13 EU、Xience Sierra

日本におけるコンビネーション製品

定義

  • 医薬品、医療機器、再生医療等製品のうち、2種類以上を組み合わせて1製品として製造販売するもの。
  • 例:プレフィルドシリンジ、吸入器付き薬剤、薬剤溶出ステントなど。

規制・審査体制

  • **主たる効能・効果(主たる構成要素)**に応じて、医薬品・医療機器・再生医療等製品として分類。
  • 承認申請時に「コンビネーション製品」として明記。
  • 副たる構成要素についても、使用目的や安全性を記載する必要あり。

承認審査の流れ

  1. 事前相談(PMDA):製品の分類や申請区分について協議。
  2. 申請書提出:主たる構成要素に応じた申請書を作成。
  3. 構成要素の記載:副成分(例:注射器、吸入器など)についても詳細記載。
  4. 審査・評価:医薬品として申請する場合は薬事部門、医療機器として申請する場合は機器部門が審査。
  5. 承認・製造販売:承認後、製造販売業者として登録。

参考通知・ガイドライン

US(FDA)におけるコンビネーション製品

定義

  • Drug/Device、Biologic/Deviceなど、2つ以上の規制対象を物理的・化学的に組み合わせた製品
  • FDA定義(21 CFR 3.2(e))に基づく。

規制・審査体制

  • **Primary Mode of Action(PMOA)が申請製品の作用機序に基づき、FDA内の担当センター(CDER, CDRH, CBER)を決定。
  • Office of Combination Products(OCP)が調整役を担う。
  • 製品の一体性や相互作用に応じて、複数のセンターが共同審査する場合もある。

承認審査の流れ

  1. Request for Designation(RFD):PMOAが不明な場合、OCPに申請して分類を決定。
  2. 申請書提出:該当センターにNDA(新薬申請)、PMA(医療機器申請)などを提出。
  3. 共同審査:複数センターが関与する場合、連携して審査。
  4. 製品全体の評価:構成要素間の相互作用、安全性、使用方法などを総合的に評価。

参考ガイドライン

EUにおけるコンビネーション製品

定義

  • 医療機器に医薬品成分を組み込んだ製品など、主たる作用に応じて医療機器規則(MDR)または医薬品規則が適用される。
  • 医薬品が主作用の場合はEMAが審査、医療機器が主作用の場合はNotified Bodyが関与。

規制・審査体制

  • 医療機器として扱う場合はCEマーキングが必要。
  • 医薬品成分が「補助的」な役割を果たす場合、医療機器として分類される。
  • 製品の分類は、主たる作用と使用目的に基づいて個別判断。

承認審査の流れ

  1. 製品分類の確認:主作用に応じてEMAまたはNBに申請。
  2. GSPR文書の提出:医療機器の場合、Global Safety & Performance Requirements(GSPR)をNBへ提出。
  3. CEマーキング取得:医療機器として扱う場合は必須。
  4. 医薬品成分の評価:補助的な医薬品成分についてはEMAが意見提供。

参考ガイドライン