医薬品の申請資料の「信頼性の基準」とは

医薬品の申請資料の信頼性の基準とは、薬機法施行規則(第四十三条)に規定されている基準のことで、GLP、GCP、GPSPに加えて、申請資料には正確性、完全性(網羅性)、保存性の原則に基づき作成することを求めている基準です。

第四十三条 法第十四条第三項後段(同条第十五項において準用する場合及び法第十四条の二の二第五項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)に規定する資料は、医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二十一号)、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二十八号)及び医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成十六年厚生労働省令第百七十一号)に定めるもののほか、次に掲げるところにより、収集され、かつ、作成されたものでなければならない。

一 当該資料は、これを作成することを目的として行われた調査又は試験において得られた結果に基づき正確に作成されたものであること。

二 前号の調査又は試験において、申請に係る医薬品についてその申請に係る品質、有効性又は安全性を有することを疑わせる調査結果、試験成績等が得られた場合には、当該調査結果、試験成績等についても検討及び評価が行われ、その結果が当該資料に記載されていること。

三 当該資料の根拠になつた資料は、法第十四条第一項又は第十五項の承認(法第十四条の二の二第一項の規定により条件及び期限を付したものを除く。)を与える又は与えない旨の処分の日まで保存されていること。ただし、資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるものにあつては、この限りでない。

(平一七厚労令三七・全改、平二六厚労令八七・令二厚労令一五五・令三厚労令一五・令四厚労令八四・一部改正)

GLP、GCP、GPSPについては省令化されており詳細な要求事項が規程されていますが、医薬品の申請資料に対して求められる正確性、完全性(網羅性)、保存性については詳細な要求事項は規定されておりません。ただし、医薬審第1058号(新医薬品等の申請資料の信頼性の基準の遵守について)の中で、必要な組織及び人員を整備、監査による確認、手順書の作成、教育訓練などの「遵守体制整備」、並びに「責任者の陳述及び署名」が要件として規定されています。

一 基準の遵守体制等の整備

規則第一八条の四の二に規定する医薬品(以下「新医薬品等」という。)の承認申請者は、新医薬品等の申請資料について基準により収集及び作成を行うために必要な組織及び人員を整備するとともに、基準への適合性を監査する手続きを含む申請資料の収集及び作成に係る業務の標準手順書の作成、関係職員の教育訓練等、基準を遵守するために必要な措置を講ずるよう努めること。

二 責任者の陳述及び署名

申請資料の収集及び作成に係る業務を統括する責任者は、申請資料の冒頭に次の陳述並びに署名又は記名及び捺印を行った書面を添付すること。

ア 申請資料は、いずれも基準に従って収集し、作成したものに相違ない旨の陳述

イ 責任者の署名又は記名及び捺印

なお、以前は「信頼性基準」と「信頼性の基準」は薬事法施行令、薬事法施行規則にそれぞれ区別して規定されていましたが、2020年の薬事法大改正(薬事法から薬機法)により、「信頼性の基準」として記載されておりどちらも同一の基準として読み取ることができます。