FDA査察のForm-483、EIR、Warning Letterについて

FDAのForm-483、EIR(Establishment Inspection Report)、警告書(Warning Letter)はFDA査察に関連する文書であり、それぞれ異なる役割と目的を持っています。以下にそれぞれの文書の違いについて説明します。

  1. Form-483:
    • Form-483とは、FDA査察官が医薬品や医療機器の製造施設を査察した際に発見された問題や指摘事項を記載した文書です。
    • Form-483は、査察の結果に基づいて即座に製造業者に提示されます。通常、査察の終了時に、FDA査察官は指摘事項をまとめてForm-483を作成し、製造業者に渡します。
    • Form-483は問題の存在を示し、製造業者に是正措置を講じるよう促します。ただし、Form-483は法的な文書ではなく、警告書とは異なります。
  2. EIR(Establishment Inspection Report):
    • EIRとは、Establishment Inspection Reportの略称で、FDA査察官が製造施設を査察した後に作成される正式な報告書です。
    • EIRには、査察の結果、指摘事項、製造施設の状態、製造プロセス、品質管理システムに関する詳細な情報が含まれています。
    • EIRはFDAの内部文書であり、製造業者には通常提供されません。製造業者はEIRをリクエストすることができますが、通常は公開されません。
  3. 警告書(Warning Letter):
    • Warning Letterとは、FDAが製造業者に対して発行する公式な警告文書で、Form-483やEIRの結果に基づいて発行されることがあります。
    • 警告書には、製造業者が法的な要求事項やGMP(Good Manufacturing Practices:適正製造規則)に違反している場合、その違反事項や改善すべき項目が詳細に記載されます。
    • 警告書はFDAのウェブサイトなどで閲覧できます。警告書は法的な措置を示し、製造業者に是正措置の実施を要求します。
    • 警告書を受けた企業は、指摘された違反事項に対処しない場合、法的措置が取られる可能性があります。具体的には、製品の製造や販売を制限または中止・取り下げすることがあります。また、警告書は企業の信用にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
    • 警告書を受けた後、FDAは通常、是正措置の実施を確認するために追加の査察を行うことがあります。

つまり、Form-483は査察の結果を製造業者に即座に示し、EIRは査察後に作成される査察の詳細な報告書で、Warning LetterはFDAから製造業者に対して法的な措置を通知する文書(警告書)です。