日米欧三極の医薬品MF/DMF制度の違いについて
医薬品原薬等登録原簿(Drug Master File / DMF)制度は、日米欧の三極で大きく異なっています。例えば、日本やEU(EMA)では製剤をMF登録することはできませんが、US(FDA)では製剤もDMF登録(Type II)することが可能です。また登録方法も三極調和されておらず、日本ではFD申請書(様式H01)にてPMDAに提出しますが、USではCTD形式でFDAに提出することになります。なお、EUではASMF(Active substance Master File)という制度があり対象製品が原薬に限定されていますが内容については比較的日本と同じような制度となっております。
日本の医薬品MF制度
- 規制当局: PMDA(医薬品医療機器総合機構)
- 対象:(原文をそのまま記載)
- 1) 医薬品原薬、中間体及び製剤原料(バルクのうち特殊な剤型等)
- 2) 新添加剤及びこれまでと配合割合が異なるプレミックス添加剤
- 3) 医療機器原材料
- 4) 再生医療等製品原材料(細胞、培地、培地添加物、細胞加工用資材等)
- 5) 容器・包装材
- 特徴:
- 原薬等登録原簿登録申請書(FD様式H01)にて登録。
- MF番号を取得し、製造業者が参照することで、製品の品質管理が容易になる。
参考情報
FDAのDMF制度
- 規制当局: FDA(米国食品医薬品局)
- 対象: (原文をそのまま掲載)
- Type II : Drug substance, drug substance intermediate, and materials used in their preparation, or drug product
- Type III : Packaging material
- Type IV : Excipient, colorant, flavor, essence, or material used in their preparation
- Type V : FDA-accepted reference information
- 特徴:
- DMFは電子コモンテクニカルドキュメント(eCTD)形式で提出。
- DMF番号を取得し、必要に応じて他の企業が参照可能。
EMAのDMF制度
- 規制当局: EMA(欧州医薬品庁)およびEDQM(European Directorate for the Quality of Medicines & HealthCare)
- 対象:(原文をそのまま掲載)
- A. New active substances;
- B. Existing active substances not included in the European Pharmacopoeia (Ph. Eur.) or the pharmacopoeia of an EU Member State;
- C. Pharmacopeial active substances included in the Ph. Eur. or in the pharmacopoeia of an EU Member State.
- 特徴:
- EMAとEDQMが審査を行い、適合している場合には登録される。
- ASMFはオープンパート(申請者と共有)とクローズドパート(製造者のみがアクセス可能)に分かれる。
- ASMFとは別にCEP(Certificate of Suitability)と呼ばれるEPに準拠している原薬に適用される制度もある。
※「EUにおける医薬品原薬登録制度のASMFとCEPの違い」はこちらの記事に詳しく解説しています。